アートとしてのアルバムジャケット:ギタリスト編_part2
2020/07/30
Bruce Springsteen / Born to Run:ブルース・スプリングスティーン / 明日なき暴走
ギタリストというよりは、シンガーソングライターであり、ロックンローラーというべきブルース・スプリングスティーンだが、ジャケットのデザインが良いので選んだ。
1975年にリリースされたこのアルバムは彼の出世作で、シングルカットされた「Born to Run」がラジオのヒットチャートでも流れるようになり、私はリアルタイムで聴いていた。
あまり深追いしたアーティストではないが、この頃のブルース・スプリングスティーンは、いかにもアメリカンの乾いた音と、ハングリーな勢いがあって好きだ。
見開きのLPを開くと、左側にはサックス奏者のクラレンス・クレモンズがいる。
Jimi Hendrix / Are You Experienced?: ジミ・ヘンドリックス / アー・ユー・エクスペリエンスト?
これはジミヘン(ジミ・ヘンドリックス)のデビュー・アルバムだが、オリジナル盤とアメリカ・カナダ盤とで、ジャケットも収録曲も違う。
掲載した画像がオリジナル盤ジャケットで、アメリカ・カナダ盤は黄色くてサイケデリック風なデザインになっている。
曲が追加されたり、リマスターされたりしている最近のものは、大体オリジナル盤のデザインになっているようだ。
ロック・ギタリストを語る上で欠かせない存在のジミヘンは、27歳の若さで不慮の死を遂げている。下積み時代は別として、デビューしてから4年も経たない活動期間でエレキギターの演奏スタイルを覆し、多くのミュージシャンに多大な影響を与えた。
「Purple Haze」を初めて聴いた時は、「なんじゃこりゃー!」と(普通ではあり得ない音なので)驚いたが、何度も聴いているうちに病みつきになった。
後に「ジミヘンコード」と呼ばれるE7#9thを覚えて、それ風に弾いてみると、もの凄くギターが上手くなったような気になる。
Michael Hedges / Aerial Boundaries: マイケル・ヘッジス / エアリアル・バンダリーズ
「ニューエイジ・ミュージック」と呼ばれるジャンルは70年代からあるが、音楽市場で一つのジャンルとして扱われるようになったのは、80年代後半からだと思う。
その当時アメリカに居た私は、「ウィンダム・ヒル・レコード」レーベルのアーティストを、よく車の中で聴いていた。
アメリカの美しい田園風景と、「ウィンダム・ヒル・レコード」のサウンドはとても相性が良くて、当時の出来事と共に私の心に沁みついている。
ジャケットも、自然の美しさだけではなく、何か目には見えない大きな力を感じさせるデザインになっていて、音空間にマッチしている。
ウィンダムヒル・レーベルで最も印象深かったアーティストが「マイケル・ヘッジス」。
彼は、タッピングやハーモニクス、変則チューニングなど、独創的な奏法でアコースティック・ギターの概念を覆した。
しかし私が一番惹かれるのは、テクニック以上に彼が表現する豊かな音楽性と透明感のあるサウンド。
彼もまた、1997年に交通事故のため43歳の若さでで亡くなってしまった。
Eric Johnson / ej : エリック・ジョンソン / ej
好きなギタリストの一人、エリック・ジョンソン。
彼はアメリカのテキサス州オースティン出身で、一時期オースティンのアパートに住んでいた私としてはとても親近感を持っている。
とにかくギターは天下一品、歌も上手い、超美形、ピアノも上手いし、彼が作る楽曲も素晴らしい、そして謙虚…。こんな非の打ち所がない人もいるんだ、と感心する人物。
他のミュージシャンから反感を買うほど完璧主義な所もあるようだが、それほど音作りに拘っているということだろう。
印象的なのは、コードヴォイシングの美しさ、難易度の高いフレーズを弾きまくっても歌心があり、聴いていて本当に爽やかな気分になる。
このアルバムは、2016年10月にリリースされたアコギとピアノで構成されているアンプラグド。
人生の振り返りのような曲、音楽的なルーツのようなカバー曲、ジャケットの絵やタイトルの「ej」を見ると、年を重ねた彼の集大成のように感じるが、ギターは衰えを知らず、円熟味を増した楽曲を聴くと、「まだまだこれから新しいサウンドを生み出して欲しい」と応援したくなる。