デザイン 心象風景

ゴッホ展・巡りゆく日本の夢

2020/07/22

ゴッホ展東京都美術館で開催されている「ゴッホ展」を娘と一緒に観てきた。
http://gogh-japan.jp/point/index.html

画家の生涯について詳しくはないが、子供の頃からよく目にするゴッホの絵はとても印象深く自分の中に残っている。

今回の展覧会は日本との関係にスポットを当てている。

ゴッホにとって当時の日本は理想の国だったようだ。それは以下のような記述によってうかがえる。

「日本美術を研究すると、明らかに賢く哲学的で、知的な人物に出会う。その人は何をして時を過ごしているのだろうか。地球と月の距離を研究しているのか。違う。ビスマルクの政策を研究しているのか。いや、違う。その人はただ一本の草の芽を研究している。(……)どうかね。まるで自分自身が花であるかのように自然の中に生きる。こんなに単純な日本人が教えてくれるものこそ、まずは真の宗教ではないだろうか。」

「日本の芸術家たちがお互い同士作品交換していたことにぼくは前々から心を打たれてきた。これら彼らがお互いに愛し合い、助け合っていて、彼らの間にはある種の調和が支配していたということの証拠だ。もちろん彼らはまさしく兄弟のような生活の中で暮らしたのであり、陰謀の中で生きたのではない。(……)また、日本人はごくわずかな金しか稼がず、素朴な労働者のような生活をしていたようだ。」

ゴッホが南仏に移り住んだ時の記述では、日本が本当に憧れの地だったようだ。

「ここではもう僕に浮世絵は必要ない。なぜなら、僕はずっとここ日本にいると思っているのだから。したがって、目を開けて目の前にあるものを描きさえすればそれでいい」、「画家たちの天国以上、まさに日本そのものだ」

しかしその後、ゴーギャンとの共同生活が破綻したり、時代的にも日本は1989年に公布された大日本帝国憲法によって大きく様変わりしていく中で、ゴッホは理想と現実のギャップに苦しんだのではないだろうか。

私の勝手な妄想かもしれないが、今回展示している絵と対峙してみて、何となくゴッホの苦悩が伝わってくるような気がした。

gogh

ポプラ林の中の二人 1890年 油彩・カンヴァス


上記は、展示品の中で一番気になった絵。
林の中にいる二人の足元がなんとなく透けて見える。

wikipedia:フィンセント・ファン・ゴッホ
東京都美術館:http://www.tobikan.jp/



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